【コラム】新型コロナウイルス検査についての所感

おうちでドック事務局です。

本日はおうちでドックではなく、新型コロナウイルス感染症に関する各社が提供する検査、特に郵送検査について当社の見解を伝えるとともに、皆様の検討の一助になればとコラムを執筆することにいたしました。尚、以下文章は当社見解であり参考にしていただくものですので、事業者の方が確認した場合ご自身の判断で法的な根拠などの確認をされることをお勧めいたします。

 

尚、よく聞かれるので先にお伝えしますが、当社では新型コロナウイルス感染に係る検査サービスは販売していません。

 

  • 執筆の背景

執筆の背景ですが、このような事業をしていると様々な事業者様から「新型コロナウイルスの検査キットをおうちでドックとして扱いませんか?」や「どのような検査キットがいいかお勧めはありますか」と聞かれることが多く、新規参入事業者も大変増えてきて皆様の認知拡大につながると思う一方、法的な解釈など不明瞭な中で実施されている事業者も散見されたため、一度考えを整理するためにコラムにすることにしました。

尚、本コラムではPCR検査、抗原検査、抗体検査といった検査手法の特徴や良しあしをコメントしていませんので、そのあたりの期待をされている方は読む手を止めて頂いて構いません。

 

  • 検査≠診断ではない

さて、コロナ禍において、「今感染しているのか」「自分は感染歴があるのか」知りたいという方は非常に多いと思います。

検査とは「診断」の補助の為に行うものであり、それ単体では診断には至りません。

おうちでドックもそうですが、世の中の検査サービスは必ず「偽陽性(陽性の判定が出ているが、実態は正常)」「偽陰性(陰性の反応が出ているが、実態は正常)」が存在し、それ単体で何かの判断を行うことは難しく、複合的な検査の組み合わせを行うことでリスクチェックの精度を高めたり、検査以外の情報を確認することで、医療者は診断の確からしさを担保します。

例えば、当社が提供するおうちでドックでは、血液検査、尿検査を実施していますが、様々な標準的な「基準値」が定められており、その基準値が超えると疾病のリスクがあることが一般的に決められています(勿論医療機関で独自に定めている場合もございますが、当社は人間ドック学会の基準値に準拠しています)。

その為、それに則りリスクがあることを掲示でき、且つ厚生労働省・経産省が定めるガイドラインに則り「自己採血による受診勧奨サービス」として提供しています。

また、おうちでドックは、健康診断やがん検診に足が遠のいてしまっている方が自宅で簡便に、病院と同等精度に検査することでリスクを提示し、適切なタイミングで医療機関にアクセスしていただくためのキット・サービスであり、実は採血キットは薬機法上の「管理医療機器(クラスⅡ)」として販売されています。
管理医療機器はどの事業者でも取り扱えるものではなく、管理医療機器の販売・貸与の自治体への届出及び管理医療機器の営業管理者の設置が必要です。

※東京都の例ですが、以下の通り整理されております

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kenkou/iyaku/sonota/sale_leas/todokede.html

 

  • 法的に正しい対応が出来ているか、精度上医療機関と郵送で差はあるのか

前段が長くなりましたが、世の中で良く見受けられる新型コロナ感染症に係る検査は概ね以下の分類です。

1.医療機関で実施する検査

2.医療機関外で実施する検査

 

まず、1.医療機関で実施する検査については私が何かコメントをする余地はなく、各医療者が適切な判断で運用・実施されているものと思います。

ただ、医療機関が実施しているが、自宅に検査キットが配送され、その中の検査器具を用いて検査を実施、検体(唾液や粘液、採血など)を郵送する方法を実施している場合もあります。この場合は、「自分で簡便に実施可能な方法か」を検討いただけると良いかと思います。

尚、採血キットについては先述の通り「医療機器」となりますので、医療機器の承認の有無等気にされるようであれば確認されると良いと思います。

日本国内で実施する場合は「日本国内の医療機器承認」が必要となります。海外での臨床データや海外の医療機器承認等は意味がありませんので、ご注意下さい。

医療機関で実施する場合、「感染の有無を診断」することは可能ですが、検査検体以外の情報によって導かれているのか、そうでないかなどを考慮する必要はあると思います。

尚、医療機関であったとしても「検査キットの検体のみを郵送」した結果として「陽性」「陰性」の結果は出せると思いますが、それをもって「新型コロナウイルス感染の有無の証明」とまで結論づけることの根拠には至らないかと思います。従って、上記の状況下における陰性証明について「真に陰性である」証明とはならないことはご留意頂いた方が良いかと思います。

 

2.については、以下のようなパターンが存在します。

①民間事業者が施設で実施するもの

②民間事業者が施設外で実施するもの

①②について、更にパターンが存在しているかと思います。

a)すべて民間事業者が運営するもの

b)販売、申し込みは民間事業者が実施するが、検査結果のみ医療機関の名前(あるいは監修)で通知する

 

①民間事業者が施設で実施するものでa)b)両方ともに言えることですが、民間事業者が運営する、自己検体採取検査且つ、その場で迅速検査機器により検査結果を通知する場合において、「検体測定室」と位置付けられます。また、簡易検査の場合は「診療の用に供さない(要は診断などには使えない)」と定義されています。この場合の目的は「リスクがあるので、医療機関に行ってください」というリスクアラートが主目的であり、陰性或いは陽性を結論づけるものではありません。

ただし、従来は感染症で用いられるケースはなく、あくまで健康診断の受診勧奨用として位置づけられる場合が多いため、厳密に当法律・ガイドラインに準拠すべきかは厚生労働省に確認が必要になると思います。

厚生労働省による「検体測定室」解説ページ

また、検査センターに検査機器がなく検査キットを別の場所に郵送し検査する場合は「検体測定室の類似サービス」とされますが、この場合も衛生管理など検体測定室のガイドラインに即して事業運営する必要があると考えます。

 

さて、少し戻りまして、検査結果について②民間事業者が施設外で実施するもの についてですが、

検体が血液の場合は先述の通り医療機器に該当しますので、キットが日本の医療機器承認を得ているか、販売者が医療機器の扱いができる事業者かがポイントなります。

検体が尿、或いは唾液の場合ですが、尿或いは唾液自体を採取する器具は医療機器に該当しない場合が多いかと思います。従って法的に郵送で実施できるかもしれませんが、その場合精度は郵送でも劣後しないかどうかというポイントがあります。精度情報は郵送下において実施されたのか確認が必要です。(おうちでドックでは言わずもがなですが、郵送状況において、また、温度帯を真夏~真冬の状態で精度が保証できる日数を臨床テストを実施し検証しています)

最後に、

①民間事業者が施設で実施するもの②民間事業者が施設外で実施するもののいずれかで、b)販売、申し込みは民間事業者が実施するが、検査結果のみ医療機関の名前(あるいは監修)で通知する

という場合についてですが、基本的に民間事業者が運営している以上医療機関が表に立って検査結果を通知する形になっても「診断」は出来ないという前提は変わりありません。また、医療機関がその他情報を収集し診断に用いた場合はそもそも「医療行為」に該当しますので、検査キットの販売行為を民間事業者が行うことは困難だと言わざるを得ません。

 

検査サービスは様々な法律に基づき実施をされています。

サービスが健全な形で利用者の方に使っていただける環境が作られることを強く願います。

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