おうちでドック事務局です。
本日は「コロナ禍におけるがん検診の受診控えに伴う各種リスク」というテーマでコラムを書きます。
最初に質問ですが、皆様今年度(2020年4月~現在)のがん検診は受診されましたか?
自治体により対象年齢や頻度は異なりますが、ここで述べているがん検診とは、「乳がん、子宮がん、大腸がん、胃がん、肺がん」の検診が日本として「対策がん検診」として国が推進しています。
例年がん検診の受診率は概ね40~50%程度で推移しており、世界の中でも日本のがん検診の受診率は高くはありません。(例えば乳がん検診では、アメリカ85%、イギリス78%、オランダ64.7%、韓国51%、日本42%)
そこに輪をかけて、コロナ禍において自治体によるがん検診の延期や検診センターがソーシャルディスタンスを取るために予約数を絞ったり、受診者による受診控え等で、現在通年でこれまで受診していた方のうち3割の方ががん検診の受診を控えるとされています(※1)。これは一部調査によるデータですが、全体に置き換えると例年受診率40%~50%→28%~35%程度となってしまいます。
※1)2020年11月1日 対がん協会会報誌掲載の「がん検診受診者の月別推移」より引用
平成28年度地域保健・健康増進事業報告よりによると、がん検診におけるがんの発見率(陽性率ではなく確定診断が出た確率)は受診者のうち0.14%でした。
ここで、今までの数字を整理しますと、
日本人のがん検診対象を40歳以上と仮にすると40歳以上の年齢構成比は56%ですので、人口1億2千万とすると=6,720万人が対象
うち、今年のがん検診のうち、従来受診していたが受診しなかった方が凡そ12~15%おり、仮に15%だとすると=1,008万人が従来受診していたが今年受けなかった方
1,008万人のうち、0.14%の方ががんが発見されなかったとすると、1,008万人×0.14%=約1.4万人が見逃しがん患者となります
ちなみに、がん検診を受けなかった方が、検診受診者と発見率が同じだとすると、未受診者は65~72%となり、70%だとすると、未受診者は4,704万人となり、そのうちの0.14%にがんが見つかるとすると6.5万人となります。
一方、がんは早期発見すれば対策可能な病気であることは知るところであり、早期に発見できれば対処が可能です。
例えば女性の内生涯9人に1人り患するといわれている乳がんでは、ステージⅠ(早期がん)で見つかれば、5年相対生存率は99.8%です(国立がん研究センター発表データより)
(5年相対生存率とは、がん以外の死因による死亡などの影響を取り除くために、患者集団の実測生存率を、患者集団と同じ性・年齢構成の一般集団における期待生存率で割ることによって算出する生存率です。がん対策の評価において、主に全国がん登録を用いて、がんの影響を見たいときに用いられます)
ですので、皆様がん検診は是非受診をご検討ください。
がんの検診施設はどこもコロナウイルス感染の予防策を講じており、安全に受診できるところばかりです。HPなどでも対策が明示されています。
年に1回のがん検診。受診票が手元にある方は受診をご検討ください。
どうしても受診の制約がある方はおうちでドックなどの郵送検査を検討するのも一つの選択肢です。おうちでドックは、検診を第一優先としていただきたい中で、どうしても検診ができない方をサポートするサービスとして開発しています。(病院に行ける方は病院で検診を受診してください)
特に最近、ピロリ菌の検査を行う方が増えてきました。毎年受ける検査ではなく、胃がんの原因因子の殆どをしめるピロリ菌の感染の有無を調べて、感染している場合は除菌するという非常にわかりやすい対策で、日本人のがん死因TOP3に入る胃がんのリスクをかなり下げられる検査として注目されています。
参考コラム
胃がん志望者減少の裏に、ピロリ菌、胃粘膜委縮チェック+除菌?
少々ショッキングな数字を挙げてしまいましたが、確率的には起こりうる話ですので、ご参考にしていただければ幸いです。